芝居・演劇

■■■芝居と演劇?~出演作品と配役■■■        2001~2003


初々しい生徒を捕まえて、先生が面白そうに問う。
「芝居と演劇はどう違うか?」
???????
答え…違わない、同じ。
イメージと、個人的な思い入れは違うかも知れんが。

まぁ、とにかく(笑)。
こんにち私が、おそらく生きている事の次に長く続けている事が芝居だ。
いろいろな所でちょこちょこ勉強&参加させて頂いている。

ギャラ(収入)をもらえる程のシゴトはナイが、
TVや映画に出たいとか、収入を得られるプロになりたいとか思っていない。

かっこよく言えば、自己の追求。
かっこ悪く言えば、なんとなく惰性で続けている。

他にもやりたいと思う事は山のようにあるのだが、
ついこの道を選んでしまっているのは、やっぱり
魅力を感じ、情熱を注ぎたいと思っている分野なのだろう。

…他人はそう思うし、私もここで今そう書いているが、
惰性というか、流れに乗ってここまで来ているコトも事実である(笑)。

Q.なぜ、単純に芝居が好きだから続けていると言えないのか?
   では、どういう所が嫌いなのか?

おおざっぱに説明すると…ひとつ芝居を上演しようとすると、
台本が配られ、配役が決まり、本番に向けての稽古が始まる。
役者は試行錯誤しながら、その人物を掘り下げていく。

A.稽古が進むにつれ、だんだん眉間に皺が寄り、
  「自分の人生にさえ、まっとうに向き合っていないのに、
   なぜ他人の人生をここまで追及して、苦しんで生み出さねばならんのか?」
   と、思ってしまうコトがある。

A.また、自分は舞台上から何かメッセージを訴えたいワケではない。
   もちろん作品のテーマに寄って
  「生きるって素晴らしい」とか「環境を大切にしよう」とか
  「人生悲喜こもごも」「恋愛って素敵」とか。
   いわゆる人間賛歌的なトコロはあるが、何をしたいのか不明。

A.とくに自分の嫌なタイプを演じる時、切羽詰ってくると、
  「なぜ、本来の自分の時間を削って、
   嫌いな人間をこの世に生み出さねばいかんのか?」
   そんな妙な葛藤がある。

まして、そのカリソメの人物は、本番終了後に抹消されるのだ。
もちろん、演じた自分や観て下さったお客様に何か残るモノはあろうが…。

そんな思いをくりかえしくりかえし、ここ10年弱続けてきた。
それでもなお「演じるという事は、一生勉強だ」
「お前には10年早い」と言われている。

才能ないから辞める、とスッパリ身を引けば、
新たな道が拓ける可能性もあるかもしれないのに…(笑)。


■■■出演作品、及び配役とコメント■■■       《2003年4月迄》

『三つ蜜柑のお姫様』…日本の昔話。悪者にミカンにされていた三つめの姫君役。
         背が低い為、選ばれたと思う。助けにくる若殿様役がチビだったから。
         頭にお面を付けて、台詞は「助けてくれてありがとう」の一言。
         はじめの二つのミカンの姫君は、助けられずに死んじゃうのだ。
         …小五の学芸会で。
       
『聞き耳頭巾』…楠の木のお爺さん。舞台の真ん中で、カキワリの、クスノキのくり抜いた
         穴から顔を出して台詞を言う、情けない役。他の木や小鳥は動けるのに!
         初めての授業の時に、偶然当てられた楠の木のお爺さんが
         「うーんうーん」と苦しむ場面で「うまい!今の誰?」と先生に
         誉められて以来、ズルズルとこの道を…(笑)…。小六の時。

『誰も知らない』…確かこんなタイトル。自殺した中学生の死因を探る生徒の役。
         新聞記者に原因は父親だ、と話す。衣装は制服。中一の文化祭で。
         中学生向けの演劇って、なんでみんな暗いんだろう?

『椅子』…セリフの無い芝居。8個程の椅子の向きを、お互いに好きな方向へ
         並べようとして喧嘩になる四人の話。最後は、2個ずつ分けて
         仲直りをする。喧嘩中、舞台から落ちる場面がウケたなー。
         これも確か中一。文化部発表会かなんかで。

『モンゴルの兄妹の話』…タイトル不明の群読劇。
         役が付いたのは三人だけ。兄と妹と悪い男。
         担当の先生の趣味らしいが、他の生徒は不服だったろう。
         最期、滝か大雨に飲まれて死んでしまうヒロイン?だった。
         私をさらう隣の集落の男を演じた友人は今や一児の母。中三の文化祭。

『ピーター・パン』…稽古のみで上演されなかった。現代風に台詞を直した作品。
         三男坊マイケル・ダーリング役。姉はウェンディ、兄がジョン。
         これも背の低さで決められたのかもしれない。いや、おそらく今迄も
         かなりの確率で、背の低さでキャストが決まっている。…中三。

『猿蟹合戦』…意地悪猿役。絵の専門学校で紙芝居を作って上演した時に。
         猿が死んだ後、赤ちゃん蟹のガヤをやったらブーイングの嵐だった。
         後ろで口々に「かぁちゃん!かぁちゃん!」と言うヤツ。

『ピーター・パンと白雪姫』…森の野獣役。耳と尻尾をつけ、黒と緑のどギツイ
         舞台メイクをさせられ、大股でジャズダンスを踊った。
         一時王子様役になっていたが、野獣の方が性に合っている?!

『真夏の夜の夢』…女王タイテーニア付きの妖精役。黄色のオーガンジーの布を
         それっぽく体に巻きつけたが、やはり野獣のような(笑)?
         ウィリアム・シェイクスピア作。

『地元の古墳時代の話』…巫女様のお側付き役。地元の小学生から隣町の高校生等々、
         一般ピープルとセミプロとがうじゃうじゃ出てまとまり切らなかった。
         豪華な鬘(カツラ)や派手な衣装で、ゴマかしてたなぁ。

『BE HERE NOW』…アイドル女王ドロンジョ様の付き人、ボヤッキー役。
         隣の郡のホールの柿(こけら)落としでの記念すべき上演。
         なにしろ、舞台が広かった!上袖から下袖への距離が長かった!
         鴻上尚史…先輩達が敬愛する第三舞台(サードステージ)の作品。

『ジャングル・ジャンクション』…娘を改造人間化する、マッドサイエンティスト
         な博士役。週一で東京から群馬へ通って稽古し、声を枯らす。
         高橋いさを作。好きな劇団というと、この方主催の劇団ショーマ。

『永遠の一瞬』…今、奇跡的に思い出したようなタイトル(笑)。三ツ矢雄二作。
         記号化された演出に本気で涙した、高校演劇上がりの友人が忘れられない。
         例えばAの隣にBが座る、Cがここの台詞でDへ歩く、とかね…。

『原爆の話』…子供を亡くした親役。群読と一人語りが入り混じって構成された作品。
         テーマが重く、稽古中も気持ちが沈んでしまいがちだった。
         チケットを売るのも、なんとなく気が引けて…いかんねぇ。
         が、実際観て頂いた方の感想は、なかなか好評であった。

『グスコー・ブドリの伝記』…宮沢賢治の作品。祭りで歌い踊る村人ら、騒ぐ木々、
         元気な子供達、一揆を起こす農民共、等々でせわしかった。
         袖に戻るとダッシュで衣装やメイクを早替えしなくてはならないので。
         某照明屋さんのキレイでしっかりした照明に助けられた印象が残っている。

『ハックル・ベリーにさよならを』…両親の離婚に悩む小学5年の少年の同級生役。
         独りよがりにわめいている役だが、演技もそのままで最悪。
         自分の未熟さに嫌気が差す回数が増え出してきた頃。成井豊作。

『夏の夜の夢』…今度は、村の職人達の中のみそっかす男役。W・シェイクスピア作。
         汚い格好で転げ回り、菓子を食い、劇中劇で間抜けな獅子役になる。
         本編とカンケーない役で好き勝手騒いでおり、時々怒られた(笑)。

『けれど、スクリーンいっぱいの星』…風変わりな聖書販売員役。高橋いさを作。
         隣の市の劇団から客演を借り、シンプルだが濃い仕上がりに。
         現実と虚構とが混じる世界。銃で撃たれた肩が本当に痛んだ。

『宝クジが当たった家族の話』…姑と、頼りない旦那、生意気な三人の子を持つ母役。
         一人よがりでも許される役。短編。珍しくよく喋った。
         友人が上演時間をすっかり忘れ観にこられず、悔しい思いをした。

『なんて素敵な宇宙じゃないか』…小学校の先生役。成井豊の初期の作品。
         テニスウェアに笛を下げ、教員日誌を抱えて1シーン出てきた。
         厳しい友人に、肩肘張らない演技で良かったと言われた。
         台詞の少ない役の方がいいらしい…助平根性が出なくて(笑)。
         もとから、あまり喋らない人物を頂戴する事が多いのだが。

『わが町』…アメリカの田舎の母役。結婚後出産で亡くなった娘が昔を回想する物語。
         生きていることや家族愛がテーマで、俳優養成所でよく取り上げられる。
         多くの人が死後の世界へ行くが、この夫人だけ最後まで生きている。
         ソートン・ワイルダーの作品。

『二人小町』…確かこんな表題。お昼の奥様ドラマのような、一見サスペンス風の
         ドロドロ愛憎劇?だった気がする。俗世を去った尼僧役。

『天界の話』…中国系の昔話らしい。愛されているのに我侭ばかり言って天界に家出して
         きた新妻?と追ってきた夫。時代が古い。抹消したい不出来さ。

『スクルージ』…穏坊(おんぼう)、死体処理をする代わりに、その持ち物や衣服を
         追い剥ぎする乞食役。と、貧しいが暖かい家族の母親役。
         の、二役。イギリスのミュージカル作品。クリスマスの定番。

『あゝ野麦峠』…女工哀史。家族と離れ、雪山を越えて製糸工場へ出稼ぎに行く
         十代の娘達。きつい職場から逃げ出し諏訪湖に投身する役と、
         何年か続けて来ているのに仕事が下手クソな役…の、二役。
         蚕から糸取りする工女達が、労働組合を作ろうとする実話が原作。

『卒塾作品』…自然を♪地球を守ろう♪という普遍のテーマだが、現実を身にしみて
         実感している私には、歌詞のひとつひとつが非常に痛く感じた。
         小学生からOL、保母、主婦、社長、漫画家、教授、歯科医、等々
         老若男女80人が参加した素人ミュージカル塾の発表。石塚克彦作。

『ガンバと仲間たち』…泣き虫の島ネズミ、忠太役。恐ろしい敵であるイタチ退治に
         ガンバ、ボーボ、ヨイショ、ガクシャ等、ネズミ達が立ち上がる。
         後日ビデオで自分の姿を見て、イメージの違いに落ち込んだ…。
         公演終了直後「今の回、最悪だったな」と言われたのも衝撃的だった。

『新釈源氏物語』…平安時代のコギャル、侍従役。顔は白塗り、長ーい鬘を付け、
         着物を引きずって歩く。短編だが、金銭面は相当…(涙)。

『セチュアンの善人』…B・ブレヒト作。優しいがあくどい、人間丸出しのシンのかみさん役。
         ほとほと自分の下手さが身に沁みた作品。
         稽古中「お前は周りを下手にさせる、だから困る」という駄目出しを食らい、
         また公演後は別の方から「そのトシでそんな芝居しかできないなら、辞めろ」。
         太る為に、Tシャツを重ねた中に綿をたくさん詰めた巨大な肉布団?を着た。
         せめて見た目くらいは…と、悪アガキさせてもらった次第である。

『CANSER MAN』…病院内で働く掃除の、もとい看護助手のオバさん。
         舞台上で、上演毎に麦チョコと鯛焼きを堂々と頂いた。ご馳走様(笑)。
         個人的に初めて都心部での参加作品。精神的なレベルや質の違いが興味深く、
         また、自分の魅力の無さに納得させられてしまった。とほほ。
         自己の探求に加え、芝居で食おう、マスコミも目指そうというパワーは凄い。
         
『ブンナよ、木から下りてこい』…空が嫌いな、雀の兄貴分役。と、蛙でも参加。
         生死を問う、水上勉の原作。他に出演するのは、百舌と鼠。
         出演時間も台詞も少ないが、今迄で一番評価が高かったようだ。
         以前から「瞬間的な感情はいいが、その点と点をつなぐ線の芝居が駄目」
         と、言われ続けているのだ。辞める気がやや薄らぐ(笑)。

『マンザナ、わが町』…日系二世の歌手の卵、リリアン竹内役。井上ひさし作。
         真珠湾攻撃で、いきなり敵性外国人にされた日系二世達の話。
         折りしも、NYテロ事件で話題が持ち上がり、タイムリーな上演に…。
         「普通の日本語のセリフが普通に喋れない」事を実感した。私を含め、
         現在人の多くが同じだという。義務教育でちゃんと習わせて欲しい!

『大阪城の虎』…太閤、豊臣秀吉の時代。大阪天満の町の魚屋の番犬、ハチ公役。
         舎弟のボケ犬クマ公を従えた、ドラえもんのジャイアンみたいな奴。
         太閤万歳はいいが、虎の餌にされちゃかなワン!今迄にない初挑戦な役。

『ねこ、はしる』…工藤直子さんの詩童話が原作。落ちこぼれのネコが、池のサカナと出会い、
         いままで出来なかったジャンプや宙返りを覚え、世界が広がっていく。
         ところがある日、母ネコが兄弟達を呼んで、こう言った。
         「次の満月の夜、大人になる為の訓練として、サカナ獲り競争をします!」
         …生きる為には、友達であるサカナを食べてもいいのだろうか?…
         劇団20周年記念と銘打ち、歌とダンスと、様々な野原の生き物が出てくる
         楽しい音楽劇!と、思いきや、実は人生にも通じる、奥深~い物語。
         役者としての私の詳細は、当時(2002年11~12月頃)の日記参照(ズルイ?)。

『奇跡の人』…三重苦の少女、ヘレン・ケラーと、その家庭教師、アニー・サリバンの実話が元。
         こちらも当時(2003年3~4月頃)の日記に、物語について細かく書いた。
         私は舞台上手袖で音響操作、台詞の無い召使い役でちょこっと出演。
         「役者」やっちゃいかん、と、稽古前から心が固まっていた。
         舞台最後の作品が、大作で喜ばしい。だが音響操作で必死だった為、
         実際の仕上がり状況は、ほとんど解らないままだった…トホ(苦笑)。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・FIN・・・・・・・・・・・・・・・・・・

############################################


© Rakuten Group, Inc.